思い出という記憶/ベンジャミン
 
透明水晶の中に閉じ込められた
それはおそらく綺麗な記憶

本当はガラスかもしれない
時が流れるほどに透明はうすれ

あまりに遠く感じる頃に見ると
そこにはもう自分しか映らない

目の前にあるはずのものに
どうしても手が届かないことが

もどかしくて
悲しい

そんな言い訳をしながら
やっぱりそれは水晶のように輝く

そう

ただの過去のはずなのに
まるで今を隔てる窓みたいに
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