夏空/紅糸
 
紅いダリアが散ってしまったのは
ほんの些細な気象の変化だった
あの頃のぼくはとても移り気で
青い空の恐ろしさも知らないくらい
能天気だったんだ
青い空が鳴るのを聞いたことがあるかい
あの日の入道雲がぼくを狙っていた
モノクロームになってしまったあとにダリアが散っていた
ぼくはどうしようもなくて
叫びながら走り回っていた
真っ赤なダリアがなくなった!
なくなった!
畦道を駆け
森を駆け
真っ赤なダリアの花をさがしたんだ

ばあちゃんが切ってくれた西瓜は
ほんの少し薄い紅色だった
しかたがないのはわかっている
夏の日がなくなっていくのは
ぼくだってわかっている

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