色/寒雪
あなたはあなたでいい
あなたしか持っていないものを
大切にしよう
子供の頃からそう教えられて
ぼくは育った
ぼくがぼくである理由は
ぼくの中にある
何かが大切なものだから
そう聞かされてきた
ある時外に出て
気まぐれに大声でぼくは
「そこのあなた」と呼びかけてみる
あなたと呼ばれた人が振り返ると
そこには無数の色を携えた
顔のない人達が
微笑みながら立っている
きれいな虹みたいだね
自分の体を見てみると
ぼくにもみんなと同じく体中が色付いて
モザイクのように彩られてる
まるでパレットみたいだね
みんなの色を見ていくうちに
みんな色
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