太/湾鶴
がある。
でも最近じゃ太いってそんなに使わなくて、
太い大根も、でけぇ大根だし、
太い声も、低い声だし、
太鼓判を押すってのも、マジデの一言だし、
肝が太いなんてのは、言いまわすことすらなくなってきた。
けれども私の「太」に対するイメージは傲慢にも
ちゃんとあって、それは、山男の頭だったりする。
丸太のような腕ならわかるが、なぜか頭。
山男は、日本語なんて知らないけれど、
山をエッホ、エッホ、登ったり、
木をエッホ、エッホ、担いだり、しているうちに
ガンガン太くなっていく頭があるのだ。
さぞかし、大変なことだろう。
そんなことを考えながら
太鼓焼き(太ってしまうが)を買いに行った私を
知ってかしらずか、
太一君は寝息を立てて待っている。
戻る 編 削 Point(2)