蟹と洗濯機/吉兆夢
 
プラットフォームだった
わたしの手のひらに
砂だんご、
波にくずれて
なにも告げず抜けだした
廊下の底のあおじろい
やみの奥から
潮の鳴る音
雲のむこうで月が
満ちる


コインランドリーがあるから」、と
雨に降られた帰り途
そのさきを知りながら
流されてゆく
髪の毛に
弱いだけ、と言いきかせる
吸いこまれる 
砂とともに
やがて排水口はそれらで塞がり
満ち始めてしまった
海が
わたしの
/硬い殻の隙間にもぐる/やわい皮膚をまさぐって
ゆく/
あなたの手、
のような気がした
ぐずぐずのだんごをま
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