人間の大地/小池房枝
国を統べる覚悟はあるか
国土も、国民も、法も王も
たった一人
自分一人だけの王国を
心身全くもって健全な人間などいない
そんな理想の国など
どこかにならあるというものではない
五体や
五体以外にも
不足不満足だらけのものたち
ありとあらゆる過ちや病いとともに
寿命の限りを老いさらばえてゆく
けれどそれ故に自分という大地を
どちらかといえば不毛の土地を
人から受けた仕打ちばかりを
呪詛とともに鋤きこみ続けたような田畑に
なお実る日々の糧や
めったに換金できぬ作物や
目に入ったところで特に美しいとも思えぬありふれた草花を
慈しめるか
ごく稀にしか優し
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