ねがいだ/佐古
きみはよわいからといって星がはじけるみたいにほほえむひとだ。やさしくしたいのにできなくてなきながらじぶんをきずつけるひとだ。左のポケットのなかに、肺の底に、まぶたのうらに、螢石のようなきらきらしたことばをもっているひと。
ぼくはいつも青いこえのむこうにきみをみてた。
つもる痛みのとなりにきみをみてた。
きみがうなずいたらすぐににげれるような準備はもうできてた。どこまで行ってもかまわないとおもっていた。
きみをしってから夜であそぶのをやめた。うそで呼吸をなくすのもやめた。そのかわりねむれなくなって、毎日ちがうひとのこえでまぶたをとじた。ほしいものはちゃんとしっていたけど、きみはかなしむとおもうからいえない。
きみがもっとかるくいきれたらいいのに。
つぶやくときみはまたまなじりをゆるめる。
きみはまだ、うなずかない。
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