月と骨/水川史生
 

塗り潰される眼に 逆さに廻る青 あなたが飲み干す
悲しくあるのだと告げて口移したのはいつだったか
残滓が未明に辿る
浮かんでは街灯を 躊躇わず去る撃鉄の音
引き寄せられた製図にいくつもを記す 記すペンが鳴くライン
やがては消えるのだから
そこには優しい声があるのだ
触れる 音律のように

あなたよ
震える指先で愛おしく
骨を食んだ あなたよ
僅かに爪を立てたあれが月であったのだ
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