ヒキナギへ/砂木
ナギと呼んで空に心をのばす
心は手になり私になり
ナギに届くと思うのだ
思うのだと思うほど信じてはいない
チチチ と鳴きながら近くを飛ぶのは
警戒の意味もあるのだと
私は警戒にあたいする生き物だと
自分で知っている
餌付けしてなついて もし
私を目印に 猫が寄ってきたりしたら
恐ろしすぎるので 餌付けたりはしない
チチチ と呼ぶ声に空を見るとき
ヒキナギが私に会いたいのではなく
私がヒキナギになりたいのだと
やっと気がついた
巣の回りをうろついたり
むやみに近づいたりはしない
しないけど
ナギ キナギ ヒキナギ
ナーギー
どこかに私の声の通じるとおりが
消えながら目覚めていけばいいな
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