電話の向こうで/
乱太郎
電話が鳴った
君は「暇だから・・・」
と言った
白い雲が
空の端から
反対側の端に流れていったのだけ
覚えている
電話が鳴った
君はいつになく無口で
雨音が聞こえていた
僕が聞くたび
うなずいているのが見えた
電話が鳴った
君はとっても陽気で
落語の独演会みたいだった
僕の笑い声に
たぶん足が止まった人もいただろう
君は本当に君だよね
いつも新しい風舞い込んで
電話の向こうで
君はいつでも若葉だった
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