月下美人/三田九郎
鏡の中の私が抱きしめてあげるってささやいてる
孤独は闇の深まりとともに沈んでいく
私しか見えない闇の苦々しさに吐き気を覚える
ちっぽけな自我が膨らんで膨らんで世界のすべてみたいな顔をして
強引にキスを迫る、窒息しちゃいそうだよ
悪魔のささやきを振り払うために、月下、人気のまばらな街に出る
サンダルをつっかけて奇跡的に4回もつんのめる
逃げたって逃げたって聞こえるものは聞こえるんだけど
みんなどんな夢を見ているんだろうね 明日におびえて
私しか見えない私をお月様は見下ろしている 暗雲の影で
通い詰めすぎて馴染みになったコンビニのバイトと語ら
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