大好きな詩人を紹介してみます  「萩原朔太郎」/非在の虹
 
開いてみれば、やはりどの作品も覚えていて、またその日本語が大正六年(1917年)出版にもかかわらず、じゅうぶんに現代につうずる。
そのことにも驚いてしまうのです。
朔太郎のむきだしの神経をみるような、孤独で、病的で、陰鬱で、怠惰な、あわれな幽霊の肖像を描いているようで、それでいて若々しさが、こぼれるように表現されているのを確認して、胸を突かれるようなかなしみもあふれてくるのです。

何を引用しましょう。
悩んでしまいますが、今のぼくは、この作品の静謐な孤独感にひかれます。
「白い共同椅子」という作品です。


 「白い共同椅子」

森の中の小径(こみち)にそうて、
まつ
[次のページ]
戻る   Point(5)