大好きな詩人を紹介してみます  「萩原朔太郎」/非在の虹
 
 詩集『月に吠える』より「猫」

まつくろけの猫が二疋、
なやましいよるの屋根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』
『おわああ、ここの家の主人は病気です』


萩原朔太郎の詩にはじめてふれたのは学校の授業でした。
「竹」という作品です。
ぼくは、なんとなく興味を感じて、学校帰りに文庫版『萩原朔太郎詩集』を買いました。
詩集を買ったのは、初めてだったと思います。
ぼくは『萩原朔太郎詩集』を夢中になって読みました。
それからの一時期はほんとう
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