椿/
izumi
椿はがくの所からちぎったように落ちていた。
それは次から次に咲いてくる椿を一層目立たせるために。
自らの生の限界があまりにも残酷で
またそれに従うしかない弱い生き物だと誰かに気づいてもらえるように。
椿は知っている。
私たちが終わっても暖かくなれば次々に生が地上に出てくることを。
そして虫や鳥動物がそれを心待ちにしていることも。
椿の花は春までの命。
彼らの心に少しでも私がいたことを刻んでほしいと
控え目ながらも祈ってる。
10.2.23
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