過程/小川 葉
都会の暮らしを
母は嫌った
あの時の母の歳に近づくほど
その気持ちが
わかり始めている
わたしは間違っていたのかもしれない
けれどすべては過程なのだ
あるべきところに
あるべきように
ここまで転がってきた
故郷の言葉が
息子には通じない
それはすっかり
わたしがなりたかった
都会の子供だ
不思議なことに
この街の暮らしが長くなるほど
故郷の訛りが強くなっていく
人柄もまた父のように
だからおまえは
わたしの代わりに
この街で生きてくれ
その景色は当たり前のように
新幹線が見える校庭で
時には飛行機も飛んでいる
そんな絵を
むかしわたしは描いた気がする
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