ピース/izumi
最後のピースをいとも簡単にはめる。
今回はどんな色?模様だった?
完成してはひっくり返して
バラバラになったピースは
また生まれ変わって
ぼくのもとへやって来る。
虹色も、ハートの形だったことも
(あの時はさすがに恥ずかしかった)
底のない不気味な黒や
すべてが血のようなドロドロした色だったこともある。
ピースは突然上から降ってきて
ぼくを驚かせる。
どれ一つとして同じ形はない。
それぞれには形や色のほかに
感情や思い出の端っこを持っている。
ぼくはピースを一枚一枚平らに広げて
目を閉じる。
ぼくの気持ちを
それは鏡のように映し出す。
時には鼻歌を歌いながら
泣きながら
苦しみながら。
ぼくにしか見えないピースで
それらを当てはめて。
ぼくの心にあいた空間を
またそっと閉じる。
10.2.23
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