スピカ/ねことら
もう、おおはしゃぎして喜んだね
そして、すぐに当たったジュースをぼくにくれた
幸福ははんぶんこずつ
ルーレットは弱い点滅をくりかえして
いつか必ずどこかの的にとまる
必要なのは、たぶん受容することだけだ
ということ
ある日、ずぶぬれの君がぼくのアパートをたずねてきた
電池の減りが激しくて空っぽだ、わたし
そうか
帰る場所なんてはじめからなかったんだ
そうか
君は細く尖って凍えているのに
ぼくはといえば、粗大ゴミと間違えて
言葉を処分してしまった愚かなトドのように
曖昧な返事を繰り返すことしかできなかった
君にはきっと、暖かい毛布と
ミルクをたっぷり入
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