ポートレート/三田九郎
ポートレートを眺めてた
拳銃を組み立てる少年のまなざしには魂が宿ってた
雀がベランダにやってきて鳴いた
コーヒーが美味くなった
違法伐採者の瞳は輝いてた
彼の生計にエコなんて空疎だろうな
ほとんどのことは言葉なんかになってない
昨日も人身事故で足止めされた
空き缶みたいに潰れていく
あんたの都合なんて聞いてらんない
意味のないものに意味を持たせようという企て
反対派が画面の向こうで乱闘してる
雨に打たれて帰るのも悪いもんじゃない
お兄さん寄ってかない
証明写真を撮ってみた
パーツがおかしいんだってば
腰の動きが
んだよ んだこら んだと
口論しながら抱擁してた
帰り際
すぐに捨てました
野焼きする少数民族は猛々しい
彼の国の縫製工場には生命が滲んでる
雨の路上に張り付いて
何を証明するんだ
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