おかえり/izumi
ダンボールを開けると
そこには懐かしい本や雑貨が詰まってる。
「おかえり」
前にいた所の空気に包まれた私の宝物たち。
ずっと置いてきぼりでごめんね。
私は、あなたたちのおかげで生活できたのに。
ずっとほったらかして私は家を出た。
宝物を置き去りにして。
私も辛かった。きっとあなたたちも辛かっただろう。
何も主張しないけど、目がそのように訴えている。
「おかえり」
辛くて泣いた夜も、楽しくて笑った日も
私はあなたたちと一緒にいた。
そして、これからも一緒。
もう元には戻れないけれど、私を見てきてくれたあなたたちには分かるでしょう。
これからは、私の番。
大切に、温かく守ってみせる。
嵐だって、幾千本の矢であっても、火の粉からでも。
私は味方。
だから「おかえり」、そして「ありがとう」
私が今ここに存在していること、それは単なる偶然ではない。
あなたたちが私のそばにいてくれたおかげだから。
「おかえり」
10.2.21
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