天使の嘆き/快晴
眠りの国から追い出された
傷だらけの片翼の天使は
この世界でどんな夢を見る
赤く血塗られた新聞紙
混迷を極める世界情勢
もう誰も明日を夢見ない
ただ生まれては消えていく命たち
コマーシャリズムだけが
人々の欲望を煽り続け
埋め立てられた東京の空には
鳥が羽ばたく隙間さえない
傷だらけの天使は飛ぶことを諦め
路上に捨てられた夢の残骸を拾い集める
砕けた夢のカケラは
ちくりと天使の指先に突き刺さる
夢を諦めたロマンチスト達が
こうして街路に溢れ出すと
天使もどうしていいか分からず
ただ生まれた国を思い出し立ち尽くす
もう飛べないことを知りながら
精一杯に翼を広げる天使を
群集の鉛色の瞳が一瞥する夜
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