大好きな詩人を紹介してみます 「北園克衛」/非在の虹
冊、『砂の鶯』という詩集も出していて、敗戦後六年たって、ようやくモダニズム詩人は、詩集発表を再開しました。
処女詩集は二十八歳、昭和四年の出版。
『白のアルバム』というタイトルです。
タイトルの対比だけでも、なにかを感じないわけにはいきません。
では初期の作品、『若いコロニー』から「春の葉書」を引用しましょう。
詩人の変貌がうかがわれると思います。
「春の葉書」
銀座に白いアヴェニュウは
ガラスの風が吹いてゐて
ぼくらの夢を切ってゆく
朝の十時
コオヒイとパンの匂ひが街にながれ
飾窓の菫の花の
そこだけが
ガラスをよぎるシャルマンな
女の声で影になる
できれば、ここでまた、大好きな詩人を紹介してみます。
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