幽霊のひもの/岡部淳太郎
を忘れて、何だろうあれはと思っ
て近づいていったのでした。薄っ
ぺらくて白いふとんみたいな布み
たいなものは風に揺れて、地面に
近いところからぽたぽたと水がし
たたり落ちていました。そっと手
をのばすと、いきなり風に吹かれ
でもしたのか、大きく揺れ動いた
ので、僕(子供)はびっくりして
手をひっこめました。すると、そ
の白くて薄っぺらいふとんみたい
なものがぐるっとねじれて、その
ねじれたところから、こんにちは
と声が聞こえてき
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