幽霊のひもの/岡部淳太郎
 
           を忘れて、何だろうあれはと思っ
               て近づいていったのでした。薄っ
               ぺらくて白いふとんみたいな布み
               たいなものは風に揺れて、地面に
               近いところからぽたぽたと水がし

たたり落ちていました。そっと手
をのばすと、いきなり風に吹かれ
でもしたのか、大きく揺れ動いた
ので、僕(子供)はびっくりして
手をひっこめました。すると、そ
の白くて薄っぺらいふとんみたい
なものがぐるっとねじれて、その
ねじれたところから、こんにちは
と声が聞こえてき
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(20)