小人/izumi
言葉が私から去っていく。
波が行っては来たりを繰り返すように。
さっきまでいた言葉が、今はない。
認知症ではない。過去があやふやではないし、言葉が出ないことを自覚しているから。
言いたい時に、音として出てこない。
頭の中に言葉、その時に言うべきふさわしい言葉が出てこないから。
私の頭の中には、たくさんの小人がいる。
私が生まれてから、ずっと、私を私として成り立たせている。
これを書かせているのも小人のおかげ。
今まで習得した言葉を整理したり、消したりしている。
忘れることがあっても、それは小人が必要ないと判断したから。
小人はとっても繊細です。
いろいろ溜め込みすぎると、弱まります。
誰もかばってくれない所で、私を支えてくれている。
言葉は時に力を持つ。
それは小人のしたこと。
それは小人が必要だって考えたから。
今も、これからも、死ぬまで、私は小人と一緒。何があっても。
どちらかが弱っていても。
バランスを保ちながら生きていくのです。
それが私です。
10.2.21
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