川に落ちる。/ブライアン
 
 川辺でハエが飛んでいた。
 片手を大きく振る。ハエを叩き落そうとした。
 ハエは、風に反応しているのだろうか、襲い来る手の平の攻撃をかいくぐり、水面に着水しては、宙へ浮かび上がり、と上下の移動を繰り返している。何度繰り返しても、ハエの上下の動きを捉えることは出来なかった。ハエは簡単に手の平の動きを読んだ。攻撃は空を切り続けた。
 次第に苛立ちが募った。気の抜けた攻撃ではダメだ。座り込んでいた体を起こす。身を乗り出して、ハエを叩き落そうとする。身を乗り出し、片足が川に入っていくことに気も留めずに。完全に片足が川に入った時、ハエは上下の移動をやめ、急に遠くへ飛んでいった。もしかしたら、片足を川
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