ヒステリカル-ロジック-03 行方不明最先端都市/北街かな
たたかせていて
どうやら彼はだれかと話をしているらしいのだが
機能停止も間近の少女は
それの意味を汲むことはできなかった
ただ
ひどくなってきた砂嵐と その向こうの眩しい太陽を突破するように
あごをあげ、なるべく高く、たかく
救難信号を発するのだった
ハレルヤ、ハレルヤ、僕らきっと砂に消えるよ
かつてここでにぎやかにしていたよ
ハレルヤ、
ありったけの色彩を、透明のモニュメントに映し出し
あらゆる物理的・心理的交錯がさまざまの意思決定体のあいだで葛藤もし
ときどきは安堵もしていたよ?
そうだ、おもいだした
恋人の猫の毛並みをうつくしく揃えにいかなくては
だから、だれかここへ
ハレルヤ
砂に消える前に。
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