夢/小川 葉
 
 
 
故郷の
桜の木が老いている
むかし酒屋だったところが
更地になっている
火の見櫓もなくなって
夕方になれば
知らないメロディが
柏の原に鳴り響く

昨日見た夢を
母に話したかった
あれから二十年
わたしは今朝
やっと目覚めたのだ
 
 
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