星になること/木屋 亞万
 
宇宙へ打ち上がる星になりたい
ジェットエンジンなんていらない
魂を燃やして空へ
真っ直ぐに飛んでいく
塵ひとつ出さない


空を見ない人は気付きもしない
僕の旅立ち




太陽を背にどこまで飛ぼう
闇に飲まれ黒に溶けていく
太陽系を離れて銀河系を越えて
輝かない星に紛れる


星になったら
会いたい人がいる
たぶん僕を待っている


見上げるしかない星空の
厚い空気の膜の向こうで
じっと風を澄ましている
たくさんの黒を凝らしている


もう僕ではなくなった僕でも
それが僕だとわかってくれる
あの人に会いに行く
あの人が星になったなら
僕も星になるだけだ


ガソリンもガスも何もいらない
空を見上げてこころを飛ばせ




宇宙はとてもつめたくて
体温を捨てた身体には
とても心地が良いものなのです


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