Tonight Tonight/かいぶつ
ここが僕の新しい寝床だ
うず高い廃家電のベッド
人懐こい重油の匂い
腹の虫をアジる革命のような
焼き立てパンの香りも
まさかここまで追ってきやしないだろうから
もう安心して唾液を胃に刺せる
満ちた月さえ見上げなければ
どんなに歯並びの悪い女のような町並みでも
小高い丘の上から眺めると
少しは性格がマシに見える
みんな黙っていればカワイイのに
いたずらに対話し うわさ好きだった空は
今、星屑ほどの食卓のために
夜を一枚、新調する
肌はまだ持ち帰った昼の微熱をまとい
歩きつかれたはずの体が
眠りを細かに砕く
頭だけは冷たい台所のように
生やさしい感情が立
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