月のありかは/ねことら
 


真夜中のモータープール。コンタクトのまま寝てしまってたみたいだ。世界は半透明な膜に覆われていて、ゲンジツカンがない。筋肉痛で首がごわごわだよ。ルームミラーに映る曲がったスプーンのような月が、不安定にゆれていた。リクライニングシートを倒して、もういちど眠ることにする。


きのうは眠剤のみすぎてかるくオーバードウズ。ひし形やしかくのきらきらが金平糖のように部屋中に積もっていてきれいだった。足をざくざくいれながら陽気になって大声でワンダーウォールを歌った。わたしはいつもひとりだったけど、ドアノブを部屋のいたるところにとりつけてるから、24時間だれとでも一緒に逃げることができるよ。


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