川向こうの大火/
TAT
平素はクジなぞ当たらぬくせに
何だかその日は朝の牛乳がいつもより多く置いてあったり
雨も降らぬのに天井画の龍のように鮮やかな稲妻を目撃したり
先生が私に朗読をさせようとした瞬間に鐘が鳴ったり
止めにしましょうかと
半年も前に切り上げた野球部の副将に復縁を迫られたりと
何だか妙な一日でした。
風のぬるい
嫌な気配の一日でした
私はすっかり怖くなってしまって
下校の際も校庭の花壇の陰から急にクラウンが現れて
『
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