大好きな詩人を紹介してみます 『処女懐胎』ブルトン?エリュアール/非在の虹
ーマといわれても、とぼくは考えました。人にむかっていいたいことなんかひとつもない。
なにか美しいものを見たわけでもないし、すばらしい体験をしたわけでもない。
そのくせ、ただ美しいとかすばらしいだけのことを書きたくない。
と、じつに困った状態だったのです。
そんなある日、新宿紀伊国屋書店の詩の棚で、『処女懐胎』を手に取ったのです。
その本はたびたび見かけていました。
ブルトンとエリュアールのなまえも知っていました。
見て知ってはいたものの、なんとなくぼくには縁遠いものという気がして、手に取ったことはなかったのです。
人との出あいには神秘的なものがあるといいますが、本もまた出あうべ
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