しずく/izumi
えてあげたかった。
私は外に出た。
私に当たる君たち。
君たちは、私に落ちた時から生まれ変わる。死ではなく、新しいものに。
私に当たった君たちは、こんにちは と さようなら を伝えて
次々と違う世界へ旅立つ。
ある者は花に、ある者は犬の飲み水に。
君たちがたくさん集まると、長靴をはいた子供の遊び場所に。
そこからは笑い声。
花を見た主婦からは、ほめる声。
水を飲んだ犬からは、ワンと。
あそこへ戻ったら聴かせてあげて。
きっと君たちの話に夢中になるはず。
そして知らない間に、この空を太陽に渡しているのだから。
10.2.10
戻る 編 削 Point(0)