大好きな詩人を紹介してみます 「日夏耿之介」/非在の虹
人と考えるのは、いかにも安易なのですが、
その漢字への偏愛、語句の特殊、そして、古めかしい洋館の一室で革装の書物を開いて読むような内容。
一読すっかり彼の詩にまいってしまったぼくは、思潮社版詩集を肌身はなさず持っていたのです。
ひとたび日夏の詩集をひらけば、そこが新宿の喫茶店であっても、神田の「吉野家」であっても、たちどころに「古めかしい洋館の一室」あるいは「錬金術の秘法をひもとく隠者の実験室」にしてしまうパワーをもっていました。
まさに日夏耿之介の秘儀と言ったらいいでしょうか。
それでは、詩集『咒文』(じゅもん)より「咒文乃周囲」の末尾を引用します。
あはれ夢まぐわしき密咒(みつじゅ)を誦(ず)すてふ
邪神(かみ)のやうな黄老(おきな)は逝(さ)った
「秋(さわきり)」のことく 「幸福(さいわい)」のことく 「来し方(こしかた)」のことく
できれば、ここでまた、大好きな詩人を紹介してみます。
(参考文献もろくにそろえないままにこの文章を書いています。まちがいがありましたらご教示いただければ幸甚です)
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