RED/三田九郎
呼吸するみたいに愛してるとかしてないとか言われても
表情の愚かさが味覚に残っていて忘れらんない
惜しいシュートが何度も何度も何度も映し出されてた
でもあの瞬間の落胆はあの瞬間にしかなかったものだ
嗚咽と吐息が混濁した抱擁を夜通し続けても
君の告白にもその身体にも息づかいにも動揺を覚えなかった
解説者が勝負の行方や敗北の理由について解説してた
精神論で何もかも片付けてた、敗戦後の儀式みたいに
吐き出しきれないため息が身体に充満して窒息しそう
倒れたグラスからテーブルに広がり絨毯にしたたり落ちる
ワインの赤に私達の将来を重
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