二羽と三羽/砂木
 
五月晴れの朝
雪が積もったら自然に落ちるように
高めに作った青い片屋根のてっぺんに
ヒキナギが二羽 歩いている
つがいでしか 見たことがなかったから
すぐ近くの電線にとまっている
カラスを威嚇して飛んでいる
三羽めのヒキナギをみて驚いた

二羽いるカラスに まるで自分をみろと
いわんばかりに まとわりついている
一羽のカラスが たまりかねて追っていく
逃げながら土手に隠れるヒキナギ

なぜあんな面倒な事をするのだろうか
掌と同じくらい小さな黄色い体と長めの尾を持ち
だけど チチチと鳴きながら
すばやく飛び去ればいいだけなのに

青い屋根の上では二羽のヒキナギが
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