喪失の彼方/
ヒロシ
世界は
喪失に満ち溢れていて
咲き乱れた花も
やがて散り
君の肌のぬくもりも
体温も
つかもうとするほど
距離が近づくほど
遠ざかる
この掌にあるのは
酸素 窒素 二酸化炭素
なぜ人は
自ら失ったものばかり
面影を追い求め
たどりつく場所は
果てのない荒野
花もなく
水もない
あるのは
酸素 窒素 二酸化炭素
そして悲しいほど暖かい
太陽の光
たとえすべてを失っても
僕はここに存在している
生きている
生きていける
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