冬放/
木立 悟
壁面に進めば夜へ変わりゆく空へとゆがむ空へとうたう
黒い羽散らして立ちし膝裏にまごうことなきまがいもの降る
道を梳き川はゆうるり冷えてゆく午後の陽の網まとう雨の背
夜よりも昼を畏れるものばかり切れ端に棲む切れ端に澄む
親指のつけ根の闇にあおむけの短い眠りただ浮かびゆく
たどり着く言葉はすぐに離れゆく降りそそぐもの映す目の水
雨を越え次の雨らが来るように次の虹らは裏庭に座す
火の色の冬ふりしきるふりしきるひかり背にした息のはばたき
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