『陰、または自画像』/ま のすけ
 

   わ・た・し・は

    言葉をモザイクのように使う

    言葉をクレパスのように使う

    言葉を釘先のように使う

    言葉を水のように使う

    言葉を動かぬ絵と飾る

    言葉を鏡の中に映してみせる

    言葉を深い井戸の中に置く

    言葉を風と消し

    言葉を熱と送る


   そ・う・し・て

    重ねられた行為の果て

    置き残された虚ろなる風紋が

    刻(とき)の吹き溜まりに

    私という者の陰を象(かたち)づくる


      2008初出 2010.05.24改
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