うつくしい海岸と怪獣/水町綜助
 
海岸線に寝ころんで
国の皮膚が破れたところを見ている
ざぶざぶと水が侵入しては
さらさらと砂を溶きほぐして
ありきたりに
去って行ってはまた侵す
起き上がり
波打ち際に立って
まだふれ幅のちいさな呼応を感じれば
「こわいね」と呟いてみる
水が引くと
かかとの裏側から
砂を持ち逃げされ
水の下に描かれた砂の紋を見ながら
後ろに傾き
視界を占める空の面積が広がるから
もうほんとうに立つ瀬がなくなる

遠く海岸線から、ふたりの男女が、水着姿で歩いてくる
男はサングラス
女はペパーミントのビキニ
早すぎる海水浴
29度の太陽と
36度の火照ったからだ
まだ均
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