遠い夏の日の思い出/豊原瑞穂
 
夢を見た、忘れかけてた遠い遠い昔の出来事だ。

あの頃は、今が永遠に続きそうに思えた。汗をかき通った通学路は、毎日通っていても飽きない楽しさがあった。
勉強嫌いだったはずなのに、夏休みになったら学校に行けなくてちょっと寂しくも思えた…。

そんな頃のアタシが、私に問いかける。

『お姉さん、大人の夏休みは楽しい?』

仕事ばかりでそんな時間はない。
やりたい事はたくさんあるのに、やった事は少ないよ…。振り返る事は出来たとしても、やり直す事の出来ない過去。
後悔ばかりが頭に浮かんでくるが、何も出来なかった原因は私自身にあるんだよね。

「今のうちに思いっきり遊んでいてね。真っ黒になるくらい海で泳いで、感動するくらいの花火見上げて」

あの頃のアタシが、大きく『うん』とうなずいた。

戻る   Point(0)