大好きな詩人を紹介してみます  「安西冬衛」/非在の虹
 
「春」

てふてふが一匹韃靼(だったん)海峡を渡って行った。



「春」という一行詩です。
作者は安西冬衛(あんざい ふゆえ)。僕の最も好きな詩人のひとりなのです。
安西冬衛の詩との出会いはまったく偶然です。
十七、八歳の頃だろうか、中央公論社版の「日本の詩歌」という文庫の一巻を手に取ったのです。
何かまったく知らない詩を読みたい、知らない詩を書く詩人を知りたい、そんな思いから本屋の書棚を眺めていました。
そして、安西冬衛はまったく未知の詩人でした。

年譜風に言えば、1898年 明治31年生まれ。 1965年 昭和40年に亡くなっています。

モダニストと言われる
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