中身/
豊原瑞穂
そう考えると、僕はとてもバカバカしく思えてきた。
しかしそれは僕自身にもあった。
左腕の内側、手首から脇までが靴紐のようの物で締められていた。僕はそれを恐る恐るほどいて中を確めた。やはりそこには、みんなと同じで何もなかった。
自分も含め、誰もが上辺で接している事を知った。だからこそ他人と心から付き合いたいと思うようにもなった。
自分の中を見てしまって以来、もう何も見えなくなってしまった。しかしみんなと同じだからこそ他人を信じられるような気がした。
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