柔らかな爪/朧月
 
なにかが襲ってくるような
想いにとらわれるとき
僕の心の中にある悲しみが
また成長する気配がする

敏感な部分に
触れると知りつつ
それがヒトのものなら
僕らは割と平気だよね

指の爪がのびてる
きっと触れると痛いんだよ

赤ちゃんの皮みたいな爪の
頃の自分になりたいね
どうして今は殻みたいに
血ぬれる切れ味になってしまったの

襲われて消えてしまうなら
その方がいいけど
侵略されて 僕があなたを
襲うのならば戦うよ

僕の赤い爪は
もう今日 切り落とすから


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