オフィーリア/
瀬崎 虎彦
水面に映る世界を眺めている
しかし
水面より下から眺めている
浅く緩やかな水の底から
O嬢は
東へ流れ行く雲を
光をさえぎる緑を
群生する植物の悪意を
水面越しに眺めている
時に彼女は沈み
時に彼女は浮かび上がり
酸素に触れる肌が
小さく震えることだろう
口は開いているか
瞼は開いているか
音は聞こえているか
もうそんなことはどうでもいい
ナチュールモルトとしての世界
彼女の肉体はゆるやかに朽ちていく
なにが悲しい?
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