夏の現実/番田
に架かる橋に向かい合いながら対岸に光るファミリーレストランの光を見つめている。赤や黄色などによって格子状にデザインされたレストランで飯を食べていたのはいつのことだったろうと、遠い彼方に消えてしまった日々のことを思い出していた。失業させられてしまったばかりの私の友人が、近くに設置された石のベンチに横になっている。
「仕事中は、こうして…いつもさぼっていたものさ。」
小さな小さな波たちが、水面に数え切れないほどにゆらめいている。僕も、いつ仕事をクビにされるかなんて、知れたものではなかった。
そして彼と二人でなんとか彼の部屋にたどりつくと、僕は、終電に飛び乗りアパートに帰ってきたばかり。そう、あの日曜日は、真夏だったのだろう。確か…、大分、目眩がしてはいるけれど。
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