風旅の支度/石川和広
 
わたしは今よりもっと風の通りのいい部屋
をのぞむ
望むに踏み出すに
用意はいらない

アイスランド
固有名でなくても
はせる
はせる美しきか
風の糸のもつれが
ふきさらわれる
ぎざぎざでこぼこ
地平

そこで異邦な感覚
冷たい胸の針か
わたしを苦しめるものか
物憂げな雲がとぶ
眠りの展望の中へ
わたし走る

たいまつたいまつ
焚かれる火の中の
旅人のわたしが
わたすもの

受け取る異邦野郷里
抱き締めてくれ

放たれた鼻水さえ
去る過去を流すように
戻る   Point(1)