風旅の支度/
石川和広
わたしは今よりもっと風の通りのいい部屋
をのぞむ
望むに踏み出すに
用意はいらない
アイスランド
固有名でなくても
はせる
はせる美しきか
風の糸のもつれが
ふきさらわれる
ぎざぎざでこぼこ
地平
そこで異邦な感覚
冷たい胸の針か
わたしを苦しめるものか
物憂げな雲がとぶ
眠りの展望の中へ
わたし走る
たいまつたいまつ
焚かれる火の中の
旅人のわたしが
わたすもの
受け取る異邦野郷里
抱き締めてくれ
放たれた鼻水さえ
去る過去を流すように
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