生まれ変わる/殿岡秀秋
」
と警笛を鳴らす
遮断機があがった
土手をよじのぼり
五寸釘を探す
枕木の下の石ころのあいだに
轢かれたばかりの五寸釘
死んだのではなく
生まれ変わった
「あったぞ」
平らになって
先端が鋭く尖って
光る五寸釘
大切に家に持ちかえり
縛りつける
手製の銛の先
庭で獲物に投げるまねをして
遊んでいたら
次兄がふざけて投げた銛が
ぼくの腕に刺さってしなった
次兄はあわてて
オキシフルで消毒して
包帯をまいて
「お母さんには黙っててくれ」
と頼んできた
次兄の弱みを
突き刺すように
ぼくは何度かうなずいた
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