はなびら/
刑部憲暁
うすももいろの花びらが
いちまい その色のまま おちる
その ひとひらは かるすぎて
ことばも おちる
初夏の陽射しに刺し貫かれ
薄片(はくへん)は
くものまの 空に吸われ
いちまい またいちまいと
日々 折りかさね 土 おおう
花びらの むごんの いろ
わたしの身の冷たさを
地の底のつめたさに
包んで きえ ふれて きえ
わたしの ほんとうの といき
中ぞらの あらわれ ひるがえり
おちゆく うすももの はなびら
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