猫/アマメ庵
 
ある晩、友人を呼んで、呑ン方をした。
小鉢をいくらかと、おでんも拵えて良い気分で酔っ払う。
私は、飲むのは好きだが酒には弱い。
その晩も、夜半が見えれば愈々眠たくなってきて、座椅子で眠っていたことから察すると、客人に失礼して眠ってしまったようである。
台所を見ると、おでんの鍋が床に置かれ、流し台はなにやらベタベタとしていた。
主人の知らぬ間に台所まで鍋を運んで呉れた親切な客人の仕業とは思われない。
酔っ払いでも、私は眠るだけでお行儀が良いはずだから、私の仕業でも無かろう。
訝しい限りであるが、犯人はわからぬし、わかっても問責する様な事件でもないから、その場は片付けてお終いにする。

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