For Me/寒雪
昼間の月はあんなに高く
路上の吐血はあんなに紅く
廃墟のバラはあんなに脆く
朽ち果てた大聖堂で
福音は
悪魔の口から洩れ聞こえる
23時45分発の列車に乗って
窓から零れる闇を見つめる
何者なのかは分かるけれど
何故いるのか分からない
タバコ嫌いのオレの手に
半分まで吸ったアンフォーラ
心の奥を解剖してみる
明日のイメージはモザイクで
昨日の写真は切り刻まれて
流れて落ちる砂時計の中
オレの体が粘土細工みたく
姿を変える
踏みしめた大地を
手に入れるにはどうすればいい?
答える術はない
それでも次の朝
オレはベッド
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